不遇ヒロインに憧れるあまりに不遇ヒーローを助けたら、溺愛されました
(な、な、な、何ですの……この光景は!)

エリザベスは目の前で繰り広げられている暴行を見て、愕然とする。

数名の男子生徒達が一人の男子生徒を取り囲み、罵声を浴びせている。

その日、エリザベスは急いでいた。早く学院から帰って、今読んでいる本の続きを読みたくて、うずうずしていたから。だから、いつもなら決して通らない改修中の中庭を、誰にも見つからないようにこっそり、ひっそりと気配を消して、足音を立てないように小走りしていた。


今日に限って、叔父である学院長に放課後呼び出しを受けたのが、本当についていない。おそらく、小言を言われるのであろう。

どうせ、怒られるのならば、早く済ませて帰りたい。そういう態度が叔父をまた怒らせてしまうのだろうけど。

だから、改修中で、植えたばかりの草花や、移動する予定で仮に置いている植物もあるから、踏まないように、ときつく言われている中庭を、学院長室までショートカットするために、駆けていた。

のだが━━。

「おい!(ボコッ)」
「━━何とか言ったらどうなんだ?これ以上は━━やばいことになるぞ(バコッ)」

「……まだだ……ま…だ……」
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