不遇ヒロインに憧れるあまりに不遇ヒーローを助けたら、溺愛されました
罵声を浴びせられ、殴られ、蹴られて、ふらふらになりながらも、まだ根を上げない
青年。

(な、な、なんてことなの、こんな…こんんな…)

エリザベスは声を漏らさないように、口元に手を当てる。

「おい、レオ、いい加減終わりにしないか(ボコッ)」

「ま……だ……」


明らかに体格差のある青年達に、どれだけ殴られようとも、ふらふらになりながらも立ちあがろうとする青年。


周囲の青年達が大柄な為か、スマートというよりもヒョロリとした体格に見える。


殴られる度に艶やかな漆黒の髪がサラサラと揺れる。その瞳の奥には、深い闇があるのではないかと思わせるような瞳。


(いい……!レオ、レオとおっしゃるのね。最高だわ)

そう、エリザベスが今夢中になっている本の主人公の名前はレナ。

レナとレオ━━名前が似ている。

黒髪━━同じ。

イケメン━━中性的な美形だから完璧。


何より、庇護欲を掻き立てられるような雰囲気。いいわ!


「ぐふふ……ぐふ……ぐふぐふ……ぐふふふ」


エリザベスは興奮のあまりに、喜びの声が漏れ出ていく。
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