エリート外科医の蕩ける治療
ふっと気づいたときには体がふわりと浮き上がっていて、清島さんが軽々と私をお姫様抱っこしてベッドルームまで運んだ。ぽふんと優しく寝かされて、清島さんが上から私を見下ろす。熱を孕んだ瞳が、私をその場に縫い付けるように見つめた。

「杏子、治療はもう終わりだ」

「え、終わり?」

「俺は医師としてじゃなく、杏子の恋人として、杏子をぐしょぐしょに濡らしてやる」

「先生、言葉が卑猥すぎるよ」

恥ずかしくて顔を背けるも、体の奥はむずむずと高まりが抑えられそうにない。もぞもぞと自然と膝をこすり合わせてしまう。子宮の奥がじんと痺れる感じがした。

「もう俺は先生じゃない、名前で呼んで」

「清島さん?」

「下の名前は?」

「……一真さん?」

おずおずと呼んでみれば、一真さんは嬉しそうに微笑んで「正解」とキスをくれた。ちゅっというリップ音がなまめかしく耳に届く。ぶるりと体が震えるのを「可愛い」と言い、首や鎖骨に舌が這う。

「っう」

漏れ出た声はとても官能的で、どこか遠くの世界の出来事みたいだ。一真さんの手が太ももをするりと撫で上げ、それだけでビクリと体が跳ねる。

「杏子。ほら、もうこんなに濡れてる」

「ひゃっ」

くちゅりと音がした。紛れもなく自分のものだということがわかる。感覚が研ぎ澄まされていく。一真さんのこと考えただけで、お腹の奥がおかしくなりそうなくらいに疼く。

「杏子のその顔、たまらなく好きだ」

「やあぁ……」

通じ合った心は、身体までも変えていく。
きっとあの日から、私は一真さんに惹かれていたに違いない。思えば最初から、ずっとずっと私は一真さんのことばかり考えていた。

「一真さん……好き」

「俺も好きだよ、杏子」

甘い微笑みとともに情熱的なキスが落とされ、そして私の体を濡らしていった。
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