エリート外科医の蕩ける治療
一真さんにいろいろ聞きたいなと思いつつ、そんな時に限って一真さんは忙しい。私も料亭の仕事があるし、少しばかりすれ違う日々が続いていた。
そんな時はお互い連絡もままならず、でもそれはお互いを尊重しているからだと今までだったら思っていたはずなのに、どうしてか今はそう思えない。
私の頭の中に渦巻く“美人の女医”というパワーワードが、ああでもないこうでもないと妄想を膨らます。
大量の油の中に衣をつけた鶏肉をポトンと落とす。じゅわっといい音を立てながら鶏肉の揚がっていく様子を見ながら、一真さん唐揚げ好きなんだよなあなんて、ぼんやりと考えていた。
「すみませーん」
「はーい、いらっしゃいませー」
呼ばれて慌ててカウンターまで出た私の目に飛び込んできたのは、桜子さんに負けないくらいのとびきりの美人。一つに束ねた髪が緩やかに揺れる。
何だこれ、上から下まで綺麗なんですけど。どこかのモデルさんですか。モデルさんがうちの店に何の用が……って違う違う。もしかして、もしかしてこの人って、噂のマリエ先生なのでは……?
「あの、私に何か付いてます?」
「はっ! ごめんなさい、めちゃくちゃ美人さんなので、見とれてしまって」
慌てて取り繕うと、マリエ先生はびっくりするくらい綺麗に微笑んだ。ほわー、美人さんって何をしても美人なんだなぁなんて、感心してしまう。
「ふふっ、ありがとう。そんなこと言われたの初めてだから嬉しいわ」
「患者さんたちの間で、めちゃくちゃ美人の女医さんがいるって噂になってるので、お会いしたかったんです」
「そうなんだ。お世辞でも嬉しい。でも私もあなたに会ってみたかったの。杏子さんよね?」
「あ、はい」
「やっぱり。一真に可愛い彼女ができたって聞いたから。どんな子かなーって興味あったの」
マリエ先生は目の前でぽんっと両手を合わせてニッコリと微笑む。そんな仕草さえも美しくて、きっとそれを私がやったらただの合掌している修行僧になるんだろうな、なんてぽやっと見ていた。
そんな時はお互い連絡もままならず、でもそれはお互いを尊重しているからだと今までだったら思っていたはずなのに、どうしてか今はそう思えない。
私の頭の中に渦巻く“美人の女医”というパワーワードが、ああでもないこうでもないと妄想を膨らます。
大量の油の中に衣をつけた鶏肉をポトンと落とす。じゅわっといい音を立てながら鶏肉の揚がっていく様子を見ながら、一真さん唐揚げ好きなんだよなあなんて、ぼんやりと考えていた。
「すみませーん」
「はーい、いらっしゃいませー」
呼ばれて慌ててカウンターまで出た私の目に飛び込んできたのは、桜子さんに負けないくらいのとびきりの美人。一つに束ねた髪が緩やかに揺れる。
何だこれ、上から下まで綺麗なんですけど。どこかのモデルさんですか。モデルさんがうちの店に何の用が……って違う違う。もしかして、もしかしてこの人って、噂のマリエ先生なのでは……?
「あの、私に何か付いてます?」
「はっ! ごめんなさい、めちゃくちゃ美人さんなので、見とれてしまって」
慌てて取り繕うと、マリエ先生はびっくりするくらい綺麗に微笑んだ。ほわー、美人さんって何をしても美人なんだなぁなんて、感心してしまう。
「ふふっ、ありがとう。そんなこと言われたの初めてだから嬉しいわ」
「患者さんたちの間で、めちゃくちゃ美人の女医さんがいるって噂になってるので、お会いしたかったんです」
「そうなんだ。お世辞でも嬉しい。でも私もあなたに会ってみたかったの。杏子さんよね?」
「あ、はい」
「やっぱり。一真に可愛い彼女ができたって聞いたから。どんな子かなーって興味あったの」
マリエ先生は目の前でぽんっと両手を合わせてニッコリと微笑む。そんな仕草さえも美しくて、きっとそれを私がやったらただの合掌している修行僧になるんだろうな、なんてぽやっと見ていた。