心とりかえっこ
チョークを戻し、パンパンと手を払う。頭の中では「サバ女って本当はどういう意味だっけ」とモヤモヤしながら考えていた。噂の根底にある「サバ女」から尾ひれ背びれが生えて、色々言われているように感じる。
今の行動をもしも近藤さんが行えば「さすが学級委員」となるのだろうか。違う誰かがすれば「気が利く人だね」となるのだろうか。もしそうだとすればサバ女と噂されている私はかなり損だ。
だって、どれもこれも「これだからサバ女は〜」と嫌味に聞こえるのだから。別にサバ女だからってわけじゃない。こうでもしないと途中で来た佐々木くんが分からなくなるかなと思っただけ。言えば親切心だったけど、それすらも〝見た目〟に食われてしまったのか。
「……悔しいな」
「何かあったの、水野さん」
「えっと……ううん、なんでもない」
早歩きで更衣室へ移動する。その間、隣の近藤さんはニコニコしながらこんな事を言った。
「実は私、ずっと水野さんと話したかったんだよね」
「私と?」
私がサバ女と呼ばれているから?首を捻る私を見ながら、近藤さんは口に手を添えおしとやかに笑う。
「さっきの黒板に伝言を書く所もそうだけど、水野さんってすごく気が利いて優しいでしょ?それなのに皆からサバサバしてるって言われて……。私はね、水野さんはもっと違う人じゃないかなって思っているんだ」
「!」
近藤さんの弾んだ声が、リズム良く私の心臓をノックする。本当の私に語りかけてくれているようで嬉しい。ノックに応えるように、心臓が早鐘を打ち始める。
「実は……」
今の行動をもしも近藤さんが行えば「さすが学級委員」となるのだろうか。違う誰かがすれば「気が利く人だね」となるのだろうか。もしそうだとすればサバ女と噂されている私はかなり損だ。
だって、どれもこれも「これだからサバ女は〜」と嫌味に聞こえるのだから。別にサバ女だからってわけじゃない。こうでもしないと途中で来た佐々木くんが分からなくなるかなと思っただけ。言えば親切心だったけど、それすらも〝見た目〟に食われてしまったのか。
「……悔しいな」
「何かあったの、水野さん」
「えっと……ううん、なんでもない」
早歩きで更衣室へ移動する。その間、隣の近藤さんはニコニコしながらこんな事を言った。
「実は私、ずっと水野さんと話したかったんだよね」
「私と?」
私がサバ女と呼ばれているから?首を捻る私を見ながら、近藤さんは口に手を添えおしとやかに笑う。
「さっきの黒板に伝言を書く所もそうだけど、水野さんってすごく気が利いて優しいでしょ?それなのに皆からサバサバしてるって言われて……。私はね、水野さんはもっと違う人じゃないかなって思っているんだ」
「!」
近藤さんの弾んだ声が、リズム良く私の心臓をノックする。本当の私に語りかけてくれているようで嬉しい。ノックに応えるように、心臓が早鐘を打ち始める。
「実は……」