地の果てに咲く花

「は……?楠見……?」

父さんが呆れて笑って酒を置く。

「楠見ってアレじゃねえか。ほら、絢沙の──」

「俺は、秋真も連れて行きます」

母さんは言ってくれた。

弟も連れてきていいから、楠見家に来てほしいって。

兄さんも、母さんの旦那さんも笑っていいよって。

あんな優しい人たちに迎えられたら……秋真だって幸せになれるはず。

「はあ⁉︎秋真はあたしの子よ⁉︎あの女の息子じゃないわ‼︎」

不倫女が掴み掛かろうばかりに俺に詰め寄った。

「あんたは、母さんから父さんを奪った」

「……はっ?」

「そんなやつに育てられて、秋真が幸せになれるはずがない」

逆上して、怒りで顔を赤くした女は手を振り上げた。

「この……っ‼︎」

バシッと叩かれた音が響く。
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