地の果てに咲く花
パパは、私のこと可愛がってくれたのに。

こんな酷いこと言いたいんじゃなくて。

私が本当に、言いたかったのは。

「そんなにお父さんが憎いなら、私たちのこと産まなきゃよかったのに‼︎」

望まないで産むより。

望んで産まないほうがずっといい。

私が、ずっと思ってきたことだ。

お兄ちゃんに“望まれないで生まれた”と言うのを聞いたときから、いっそ私たちのこと産まなきゃよかったのにって思った。

「お兄ちゃんを返してよ……っ‼︎」

何でお兄ちゃんと私を離したの。

幼いとき、言えなかった言葉がすらすら出る。

あのとき言えてたら。

今、お兄ちゃんも一緒だったのかな。

「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんっ……!置いてかないでっ!っ、わぁあーー……‼︎」

そこで私の体力は途切れる。

意識を手放す前、慌てて駆け寄ってくる“家族”の姿が見えた。
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