【マンガシナリオ】学園2位のイケメン幼なじみに好きな子がいるようなので、私が告白の練習相手になるよと提案してみた結果
第2話


○教室(授業中)



美津理とミイは同じ教室で、英語の授業を受けている。

窓際の席の美津理が窓の外へ視線を向けると、埜永のクラスは体育でサッカーをしていた。

埜永のクラスメイトで眼鏡をかけた真面目そうな見た目の祭和為(まつりわため)も埜永と同じチームにいる。



美津理(埜永はサッカー部なだけあって上手だな……)



埜永がシュートを決め、嬉しくなった美津理は先生に気づかれないように小さくガッツポーズをした。

埜永は和為とハイタッチをしている。





○グラウンドそば(放課後)



美津理とミイが一緒に歩いていると、サッカー部が練習しているグラウンドの方から埜永に対する黄色い声援が聞こえてた。



ミイ「あんなに塩対応なのになんで人気あるんだろ」



心底ふしぎそうに話すミイに美津理は苦笑いしてしまう。

美津理とミイに、うしろから追いついた朔弥が「一緒に帰ろう」と声をかける。

朔弥の姿に気づいた女子高生たちから「かっこいい」「朔弥先輩、さようなら」「またサッカーしてるところ見たいです」と次々に声が上がる。

そんな女子高生たちの方へ、朔弥は笑顔で小さく手を振った。



ミイ「朔にぃと一緒に帰ると周りがうるさいから嫌なのよ」

美津理「部活引退してもすごい人気だね」



女子高生の声で朔弥の存在に気づいた埜永が、美津理とミイと朔弥の方へ視線を向ける。



埜永(一緒に帰ってる……)



埜永は少し切なそうな表情をしていた。





〇埜永の家(夜)



お風呂上がりで首にバスタオルをかけ髪を拭きながら埜永がリビングへ入ってくる。

リビングのソファのところで美津理が埜永の母親の香織と一緒に埜永の昔のアルバムを見ていた。

埜永が来たことに気づき顔を上げた美津理は、お風呂上がりで男の色気が漂う埜永の姿にドキッとする。



埜永「悪い、待たせた」

美津理「大丈夫だよ、香織さんと一緒に昔のアルバム見てたから」



ソファの前にあるテーブルの上に置かれ、開かれたアルバムのページには、多くの写真が貼ってあった。

その中に、小さな頃の美津理と埜永のツーショット写真と『のと5さい おとなりのみぃちゃんと』の記載もある。




香織「もっと美津理ちゃんと話していたかったわ」

埜永「隣に住んでるんだから母さんはいつでも話せるだろ。美津理、俺の部屋いこ」

香織「えー、部屋に行くの? 美津理ちゃん、埜永に何かされたら責任取らせるから言ってね」



冗談を言いながら大袈裟な感じで香織が美津理の両手を握る。

そんな母親を見て埜永は大きなため息をついた。美津理は苦笑い。



埜永の部屋へ移動して、美津理は渡そうと思っていた物を持ってきていたことを思い出す。

カジュアルなパーカーのポケットから戦隊ヒーロー『ノイチゴージャー』のカードを出した。

美津理はカードを埜永へ差し出す。



美津理「このカード、この前お菓子買ったらついてきたからあげる」

埜永「おお、ノイチゴージャー」



普段クールな表情の埜永が、珍しく目を輝かせている。



埜永「美津理、ありがと」

美津理「よろこんでもらえてよかった。戦隊ヒーローが好きなのは小さな頃から変わらないね」

埜永「ああ、前からずっと好き……」



目を輝かせていた埜永が、真剣な表情に変わる。

まっすぐに美津理の方へ視線を向けた。



埜永「『好きだ』っていう昨日のメッセージ見て、美津理はどう思った?」



美津理(これはカードのことじゃなくて、スマホへの誤爆メッセージの件だよね……)



美津理「あのね、応援したいと思った」



美津理の返事が意外だったようで、埜永が目を見開く。



埜永「応援……?」

美津理「うん、埜永もミイも大切な幼なじみだし、埜永の想いがミイに伝わるように応援したい」

埜永「それって美津理は、俺がミイと付き合うようになってもいいってこと?」

美津理「もちろんだよ! ふたりなら大賛成」

埜永「そっか……」

美津理「昨日は誤爆しちゃったけど、改めて告白するの?」



美津理に聞かれて、少し泣きそうな表情で埜永は笑っている。



埜永「しない。今のままじゃフラれるから」

美津理「そうかなぁ……」

埜永「ずっと好きだったのに、この先どうすればいいのかわかんねぇ」



美津理(埜永をフる人なんてそうそういないと思うけど。でもそっか、ミイはモテるからなぁ……)



かなり落ち込んだ様子の埜永を見て、美津理は内心慌てている。



美津理(こんなに落ち込んでるの初めて見た)



埜永「恋愛もサッカーみたいに練習して上達すりゃいいのに」

美津理「練習……」



閃いた、といった感じに美津理の表情が明るくなった。



美津理「ね、埜永、告白に自信が持てるように練習しよう。私が告白の練習相手になるよ」

埜永「練習相手?」

美津理「そう、私なら埜永の気持ちを知ってるから告白されても勘違いしないし、どうかな?」

埜永「ふぅん、なるほどね」



埜永が蠱惑的な笑みを浮かべたため、美津理はヒュッと息を呑んだ。

次の瞬間、美津理は埜永の腕の中に抱きしめられる。

美津理の耳元で「好きだ」と埜永が甘く囁いた。

沸騰したようにボンッと美津理の顔が赤くなる。



埜永「美津理が勘違いしそうなくらい練習がんばるから、これからもよろしくな」



少し意地悪な笑みを浮かべた埜永に対して、美津理は苦笑いで返す。



美津理(今まで告白なんてされたことないけど、埜永のためにがんばれるかな、私……)




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