苦手な同僚が同担だった件について。


 パン! と両手を合わせて頭を下げる姿に、嫌ですとは言えなかった。
 というより飲み会よりも遥かに良い。


「わかりました」
「本当に!?」


 顔を上げると、見たこともないようなキラキラと輝く満面の笑顔が咲いていた。
 思わずかわいい、と思ってしまった。


「コラボカフェは私も行こうと思っていましたし」
「ありがとう角田さん! ヨッシャ〜!」


 ガッツポーズして喜びを噛み締める飛鳥さん。
 どうやら本気でエルナイの大ファンのようだ。


「桂馬のカルボナーラがどうしても食べたくて!」


 桂馬のカルボナーラとは、いつも桂馬が作っているカルボナーラのレシピを元に作られたものだ。
 桂馬推しとしては絶対に外せないメニューとなっている。


「美味しかったですよ」
「食べたんですか!?」
「はい。ブルーソーダも外せません」
「それは絶対飲みたい!」


 ブルーは桂馬のイメージカラー。見た目も爽やかで映えるし、何よりランダムでコースターがついてくるのが魅力的だ。


「めっちゃ楽しみだ!」
「……!」


 喜びを爆発させる彼を見て、思わずドキッとしてしまった。
 彼の笑顔はどことなく胡散臭くてチャラいと思っていたのに、あんなに嬉しそうに笑うなんて。
 それも推しのことで。

 苦手だと思っていたのに、調子が狂う――。


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