苦手な同僚が同担だった件について。


 会社ではロボットみたいだと言われている私が、まさかアイドルヲタクだなんて誰も思わないだろう。

 笑わないだなんてとんでもない。桂馬を前にしたら表情筋なんて常に緩んでいる。

 無論会社では絶対に誰にも言えない。というより、言いたくない。
 仕事とプライベートはきっちり分けたい、分けてこその推し活だと思っている。

 しばらく桂馬にうっとりしていたら、今度は着信がきた。


「もしもし」
《もしもし、かける〜? 今大丈夫?》
「うん、どうかした?」


 電話の相手は駒井(こまい)静奈(しずな)、中学から一緒の親友でエルナイを推す同志でもある。
 ちなみに静奈は香推し。いつも二人で連番してライブに入るのが常だ。


《実はさぁ……結婚することになった》
「結婚!? ええっ!?」


 親友からの告白に思わず大声をあげてしまう。


「結婚って、誰と!?」
《うん、わかる、そこからだよね》


 静奈に彼氏がいたなんて知らなかった。
 前に付き合っていた人はいたけど、それからしばらく浮いた話を聞いたことがなかったのに。


《マッチングアプリで出会った人》
「まさかのマチアプ!?」
《久々に恋活しようかな〜って何となく思い立って始めたんだけど、試しに会ってみたらすごく話が合う人で》

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