苦手な同僚が同担だった件について。
後日改めて乃華と二人で会った。
乃華は涙ながらに謝罪した。
「竜矢は私を好きでいてくれてるのはわかってた。でも時折思うの、竜矢はみんなに優しいから……きっとこんな風に優しいのは私だけじゃないんだろうなって」
どうやら俺は俗に言う人たらしというやつらしい。
誰にでも優しいから、不安になる。自分だけが特別ではないと感じる時がある。
そう涙ながらに今まで抱えていた本音を話してくれた。
「そんな時にあの人に声かけられて、お酒の勢いであんなことに……本当にごめんなさい」
「……そっか」
「でも、私が好きなのは竜矢だけなのっ!」
「俺も好きだったよ、乃華のこと」
好き“だった”。過去形だ。
そこで全てを察したのか、乃華はそれ以上は言わなかった。
「うん、ありがとう……ごめんね」
謝るべきなのは俺の方だったのかもしれない。
一人になって考えて、結局俺は乃華の良い彼氏であるように振る舞っていただけなんだろうと思った。
誰であっても人と接する時、無意識に正解を探して選んでしまう。
きっとそうした振る舞いが乃華を不安にさせていたのだろう。
思えば俺は自分自身で選んだことはない。
両親が喜ぶと思って良い大学に行き、大手商社を選んだ。
自分がやりたくて選んだ道ではない、この道を選ぶことが「正解」だと思ったのだ。