苦手な同僚が同担だった件について。


 俺は俺なりに彼女のことが好きで、大事にしてきたつもりだった。
 でも彼女からすると、そうではなかったらしい。

 二年前、ある会社との合同プロジェクトのメンバーに選ばれた。
 その会社の担当者・金井(かない)乃華(のか)と仲良くなり、自然と交際に発展した。

 交際は順調だと思っていた。
 結婚をはっきりと意識していたわけではなかったけど、いつかそうなれたらいいと思っていた。

 だけど、乃華は浮気していた。
 乃華の自宅にスマホを忘れたことがあり、合鍵をもらっていたので特に連絡もせずに取りに行ったら、見知らぬ男と抱き合う彼女がいた。

 その場を無言で立ち去ろうとする俺に、乃華が叫んだ。


「ごめんなさい! 私、寂しくて……っ」


 寂しい? 確かに最近仕事が忙しかったけど、連絡はこまめにしていたと思うしつい昨日も会った。
 だからスマホを忘れて取りに来たのに、乃華の言う意味がわからなかった。


「竜矢が、私のこと好きなのかわからなかったから……っ」


 なんで? 好きじゃないわけなくない?


「……俺、そんなにわかりづらい?」
「違う、そうじゃないんだけど……」
「ごめん、帰る」


 浮気されたことより、好意を疑われていたことの方がショックだった。

 今までの元カノにも言われていたから、今度こそ上手く付き合おうと思っていたのに――結局ダメだったらしい。


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