『可愛い君へ』
その3
花苗はイチゴ杏仁かき氷、朝霞は桃とマスカルポーネクリームのかき氷を小さな木製のテーブルで向かい合って食べていた。
ここ『nice&smile』は住宅街の中にひっそりと建っているカフェっぽいかき氷屋だ。
店頭ではマフィンも売っている。勿論こちらも季節の果物をふんだんに使われていてものすごく美味しい。
基本かき氷屋はこじんまりとした店が多く、この店もその中のひとつだ。
ここは花苗のお気に入りの店で、月に数回は訪れる。
そんな場所につい最近まで会話もしたことがなかった朝霞と一緒にかき氷を食べていることを、花苗は不思議に思っていた。
けれどそれは嬉しいとか楽しいとか、そういった類いのくすぐったい不思議さだ。
朝霞は大きなかき氷を前に最初は戸惑っていたが、スプーンでその氷の山をすくい口に入れると顔を綻ばせた。
「うん。旨いな。」
「良かった!結構ゴーラーには男性も多いんです。」
「ゴーラー?」
「かき氷愛好者のことです。」
「成る程。」