隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
 
 ───この男の子は今、どんな顔をしているのだろう。

 ふと現実から目を背けるように、そんなことを思いついた。私を「好き」だと言った男の子、私を「女」として見ていた男の子。急にそんなことが気になって、真っ赤になって俯く彼の顔を横からそっと少し覗き込む。


 「…!」


 私は息を飲んだ。

 そして、ぐるぐるしていた頭の中はぐるぐるしたまま、私の顔も熱を帯び始め、ぐんぐん赤くなっていくのが自分でもよくわかった。


 (雄、だ…!)


 紛れもない、男の顔だった。私が見ていた小学生の頃のその子の顔ではなかった。私を「女」として見る「男」の顔だった。性の差を感じなかったあの時とはもう違う。

 「え…えと、あの、私そういう好きとかよくわからなくって…今まで考えたこともなかったから…」

 何か言わなきゃ、でも何て言うのが正解なのかもわからないまま慌てふためき、しどろもどろになる。

 「うん、わかる。ごめん。でも斉木のこと好きな奴、結構いるから誰かに取られるの嫌で、つい」

 頭をガンっと強く殴られたようだった。

 自分のことをそんな目で見てくる男の子がいるなんて想像したことすらなかったのに。知らされる事実に頭がついていかない。

 「わ、わわわ私、ちょっと帰るね、ごめんね、また明日!」

 ”また明日”なんていつもの調子でつい言ったけど、この時ほど"明日なんて来なければいい”と思ったことはなかった。その男の子をベンチに残して私は足早にその公園を後にした。


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