【完結】ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜
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――「わたくしのこの身体を知るのは、神に誓って、殿下ただおひとりでございます」
エリスが馬車の中でアレクシスにそう告げたのは、今より三十分ほど前のこと。
そのときアレクシスは、エリスの言葉を聞いて何を思ったか、驚きに目を見開いて、少し考える素振りを見せた後、このように言葉を返した。
「そうか。ならば、それを確かめさせてくれないか。君の言葉を疑うわけじゃないんだが……あいつが君に少しでも触れたかと思うと、俺は今にも気が狂ってしまいそうになる。だから、確信がほしい」と。
そう言われたエリスは、いったいどうやって確かめるというのだろう? と不思議に思ったが、アレクシスが安心できるのならば、と承諾した。
するとそれを受けたアレクシスは、エメラルド宮に着くなり、使用人らにこう指示したのだ。
「今すぐ湯を沸かせ。エリスと風呂に入る」と。
しかも、「世話はいらん。全て俺がやる」とまで言うではないか。
当然、エリスの侍女たちや――それまでエメラルド宮で留守番をしていた――マリアンヌは困惑した。
エリスの不義の噂や、リアムとの細かい事情を知らない侍女たちは『アレクシスにエリスの風呂の世話などできないだろう』と思ったし、
おおよその事情を察したマリアンヌは、『アレクシスとエリスを風呂場で二人きりにして大丈夫だろうか』と不安を抱いた。
もしエリスの身体にリアムから受けた何らかの痕跡が残っていたら、それを見たアレクシスは逆上するかもしれない。――妹のマリアンヌがそう考えてしまうほど、リアムの手紙を見つけたときのアレクシスの形相は恐ろしいものだったからだ。