【完結】ヴィスタリア帝国の花嫁Ⅱ 〜婚約破棄された小国の公爵令嬢は帝国の皇子に溺愛される〜

 とは言え、アレクシスの言い分も一理ある。

 何も知らない侍女たちがエリスの身体に痕を見つけてしまったら、間違いなく大騒ぎになるだろう。

 それを瞬時に理解したマリアンヌは、「エリス様の湯あみなら、わたくしがお手伝いしますわ」と自ら申し出たのだが、結局、アレクシスは一歩も譲らなかった。


「不要だ。エリスも承知している」

「……エリス様、それは本当ですの?」

 心配そうな眼差しで問われ、エリスは正直返事に困った。

 確かに馬車の中で頷きはしたが、まさか一緒に風呂に入るという意味だとは思わなかったからだ。

 ――正直、一緒にお風呂に入るなど死ぬほど恥ずかしいし、考えるだけで顔から火を噴いてしまいそう。

 とはいえ、この状況で否定できるわけがない。
 それに何より、アレクシスが安心できるのなら構わない、という気持ちの方が大きかった。

 だから、エリスは微笑んだのだ。

「ありがとうございます、マリアンヌ様。ですが殿下の仰るとおり、わたくしも承知の上でございます。何も心配はいりませんわ」


 ――こうして、エリスはアレクシスと二人きりで風呂に入ることになったのだが……。
 
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