過つは彼の性、許すは我の心 壱


『気のない返事ねえ。いい?ここからが大事なことよ』

『大事なこと?』

『もしね、その物語みたいな出来事が自分に起きても、しっかりと自分を持ちなさい』

『?』

『流されるんじゃないよ。強く…強く…自分を持って、真っ直ぐな目で向かい合いなさい』

『??』

『大丈夫。いやでも分かるわよ』


 子供のように笑った祖母。

 そう言った祖母は、小学生最後の夏に亡くなった。

 その時は意味が分からなくてボケっと話を聞いていたけれど、祖母はその後に起きることを予期していたのかもしれない。

 
………結局、アドバイス無駄にしちゃったな。


「おっと」


 考え耽るのは後後。

 山積みの教材にあたりかけて、慌てて除ける。

 視界を遮るほど教材を山積みにするのってどうなの?と思いながら、雪崩れ込みそうな山積みの教材の隙間を通り抜けていく。


 その時、


「え、」


 コロコロと何かが飛び出てきて靴に当たる。

 ビーズ?何だろう。

 よく見たくてしゃがみ込んでそのビーズを拾い上げる。

 赤い…何だろう。まさか宝石?

 光に翳してよく見ようとしたところで、


「触らないで!」


 切り裂くような声に視線を合わせてーーー固まった。


 逆に何で気づかなかった、いや気づこうとしなかったのか。

 さっきのが可愛く思えるほどの、幻覚が私を襲う。


『ありがとう!助かった!やっぱり持つべきは頭の良い親友ね!』

『アハハッ!!』

『ほーんと馬鹿ね』

『アンタに分かるわけないじゃない!』

< 4 / 323 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop