過つは彼の性、許すは我の心 壱

 童話でも美女と野獣(野獣の中は人だったけど)、カエルの王様とかもその類だよね。

 この2つはハッピーエンドだけど、他の異類婚姻譚は悲恋なのが多い。大抵は正体が知られて自ら去ったり、追い出されたり、別れさせられたり、ギリシア神話だと下手したら殺されたりしている。(その後星座とか神の末席に加えたりしているけれど)


 人の愚かさを語っているのか、異類の偉大さを示す為か。

 
 人は怖がる癖に、それでも手を伸ばす。

 平凡で下らない人間だと言いながら、無遠慮にも触れようとする。


 じゃあ、異類が人と交わる理由って。


「あ」


 つらつら考えていれば、教材を置き場についていた。

 好きな物語のことを考えていれば、一瞬にして嫌な気分も払拭できてしまう、自分の現金さに呆れた。

 おばあちゃんの影響だよね完全に。


「失礼しまーす」


 無人なのは分かっていたが一応挨拶しつつ、教材室の扉を開けた。

 埃臭さと椅子にも机にも積み上げれた本達にお出迎いされて、元あった場所に教材を置く。


 おばあちゃんここにいたら、地べたに座ってでも読んだだろうなあ。


 想像まで出来てしまうから笑ってしまう。


ーーー祖母は作家だった。

 小説から絵本の原作まで色々手掛けていて、数多の作品を世に送り出したおばあちゃん。

 色んな話を聞かせてもらったし、大事なことも沢山教えてもらった。


『いつか貴方にも物語みたいなことが起きるわ』

『本当に?』

『そう。どんな人にも必ずあるの』

『へえ…』


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