Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜
Whatever It Takes たとえなにを犠牲にしても
蝋燭の炎が揺れて、ベッドのすそに落ちる二人の影をゆらりと動かした。
オリヴィアのドレスは濃い緑色で、エドモンドの白いシャツの隣でよく映えている──まるで、寄り添いあうのが自然の摂理であるかのように。
エドモンドの思いがけない提案に、オリヴィアは息を潜めて彼の続きを待っていた。
二人きりの寝室は静かで、ほんの少しの動きや呼吸の音でさえ驚くほどよく響く。
エドモンドは真っ直ぐにオリヴィアを見下ろしながら、上半身を彼女の方へ向け、わずかに二人の距離を縮めてきた。すると、いままで迫っていたのは自分の方だったにも関わらず、オリヴィアはどきりとして少し背を反らした。
そのくらい、エドモンドの瞳が真剣だったのだ。
火傷をしてしまいそうなくらい。
「バレット家には呪いがある──。少なくとも、私はそう思っている」
オリヴィアは息を呑んだ。
彼の瞳が、この世のものとは思えないくらい深く沈んでいるように見えたからだ。悲しみと後悔。そんなものがうつろに浮かんでは沈み、なにか……もしくは誰かに、救われるのを待っている。
オリヴィアはなぜか、急に彼の髪を漉いてあげたい衝動にかられたが、今はまだその時ではないような気もして、ぎゅっと両手を握って辛抱した。
エドモンドの声は平静だった。
──平静すぎた。
彼が無理をしているのがピリピリと伝わるくらいに。
オリヴィアのドレスは濃い緑色で、エドモンドの白いシャツの隣でよく映えている──まるで、寄り添いあうのが自然の摂理であるかのように。
エドモンドの思いがけない提案に、オリヴィアは息を潜めて彼の続きを待っていた。
二人きりの寝室は静かで、ほんの少しの動きや呼吸の音でさえ驚くほどよく響く。
エドモンドは真っ直ぐにオリヴィアを見下ろしながら、上半身を彼女の方へ向け、わずかに二人の距離を縮めてきた。すると、いままで迫っていたのは自分の方だったにも関わらず、オリヴィアはどきりとして少し背を反らした。
そのくらい、エドモンドの瞳が真剣だったのだ。
火傷をしてしまいそうなくらい。
「バレット家には呪いがある──。少なくとも、私はそう思っている」
オリヴィアは息を呑んだ。
彼の瞳が、この世のものとは思えないくらい深く沈んでいるように見えたからだ。悲しみと後悔。そんなものがうつろに浮かんでは沈み、なにか……もしくは誰かに、救われるのを待っている。
オリヴィアはなぜか、急に彼の髪を漉いてあげたい衝動にかられたが、今はまだその時ではないような気もして、ぎゅっと両手を握って辛抱した。
エドモンドの声は平静だった。
──平静すぎた。
彼が無理をしているのがピリピリと伝わるくらいに。