Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜



 どのくらい時間が経ったのだろう──。

 再びオリヴィアが目を覚ますと、太陽はまだ白く輝いていたものの、明らかに西に角度を緩めていた。夕方というほどではないが、昼の遅い時間だ。
 オリヴィアは両ひじを立ててゆっくりと身体を起こした。
 同時に、はらりと胸の上からナプキンが落ちる。

(これは……)

 身に覚えのない、胸の上に掛かっていた小さな布が落ちるのを見たあと、オリヴィアは寝起きのぼんやりとした頭を振った。
 きっとエドモンドがシーツ代わりに掛けてくれたのだろう。

 なぜ胸元だけなのかは、謎だが。
 寒くもないのに。

 特に寝起きがいいわけではないオリヴィアは、しばらく身体がほぐれるのを待って座ったままでいた。しかし、肩から首にかけての辺りが強張っているのを感じる以外は、いつになく気持ちのいい目覚めだ。

 土の上で眠る……。
 まるで冒険小説のヒロインになったような気分だわ……。オリヴィアは思った。

 こんなふうに過ごすのはオリヴィアにとって初めての体験だったけれど、思いのほか性に合っている気もする。
 ささいな事かもしれないが、エドモンドが、オリヴィアのために新しい世界への扉を開いてくれたのだ。その事実にわくわくした。

 そう。エドモンドが……。

 え……?

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