シクシクとワクワクの星
ワクワクとの出会い
ここは、宇宙の片隅にある "ため息" でできた星――
「シクシク星」。



空はどんよりと灰色。
星の地面には、シクシクたちの落とした 涙の水たまり が広がっている。


光はどこにもない。
あるのは、静かな悲しみだけ。



この星に住むのは、小さな生命体 「シクシク」 たち。

「どうせ私なんか…」
「頑張っても、どうせ意味ない…」
「期待するだけ無駄…」

そんな言葉が、まるで空気のように漂っていた。



この星では、「楽しいこと」はすぐにかき消える。
何かいいことが起こるたびに、誰かが言うのだ。

「そんなの、一瞬だけだよ。」
「期待したら、あとでガッカリするだけ。」



だから、誰もワクワクしない。
誰も、夢を見ない。



シクシクもまた、その言葉を 信じていた。

「何をやっても意味がない。
ぼくは…ただ、このまま…生きていくんだ。」

そう思っていた。



でも――

心の奥の奥。
誰にも見えない場所に、ほんの小さな 違和感 があった。

「本当に…ずっとこのままでいいのかな?」

その疑問は、一瞬でかき消えた。

「そんなはずない。ぼくはシクシクなんだから…。」

そうして、またいつものように、ため息をついた。

そのときだった。
シクシク星の どんよりした空 に、
ぽつんと たったひとつの小さな光 が落ちてきた。



「……なにあれ?」



シクシクは、目をこすった。
この星に、光なんて存在しないはずだ。



でも、それはたしかに――
まるで宇宙のどこかから迷い込んできた “場違いな存在” のように、光っていた。



「…触ったら、消えちゃうかも。」



なぜか、そんな気がした。
でも、シクシクは 気づけば、その光に向かって歩き出していた。



そして――

光の中から、ふわふわした何かが降りてきた。



「やっほー!✨ きみ、シクシクでしょ?」



シクシクは、思わず飛びのいた。
見たこともない、奇妙な生命体 が、
キラキラと輝きながら、楽しそうに笑っていた。



「え…? なに??」



その生き物は、シクシクの反応なんてお構いなしに くるくると回りながら 言った。



「きみの中には、ワクワクの種 🌱があるよ!」



「……ワクワク?」



聞いたことのない言葉だった。
まるで別の星の言語のように、理解できなかった。



「そう! ワクワクってね、すごいんだよ~!✨」
「ほっとくと モヤモヤ に埋もれちゃうんだけど……」
「ちゃんと気づいてあげると キラキラ ✨になるの!」



シクシクは、ますます混乱した。
意味が分からない。


でも、この生き物が話す 「ワクワク」 という言葉だけが、
なぜか 胸の奥に引っかかった。



「……きみ、誰?」



シクシクがそう尋ねると、
光る生命体は くるりと宙を舞いながら 笑った。



「わたし? ふふっ💖」

「今はまだ ナイショ!✨」

「でも、いつかわかるよ♪」



そのとき、シクシクの心の中に――
小さな “違和感” が芽生えた。

でも、それが何なのかは…まだ分からなかった。

ただ、シクシクは思った。

「ぼくは…どうなっちゃうの?」

🌟 続く…!
次回、第2話 「シクシク、ワクワクを試す!?」
シクシクは本当にワクワクできるのか…!?
< 1 / 14 >

この作品をシェア

pagetop