重いけどいいの?お嬢サマ
最初こそ、こんな慧の様子を冷ややかな目で見ていた他のお嬢様たち。
でも慧の人間性を知った途端に、手のひら返し。
かっこいいを理由に。……ほんと、単純。
「お嬢様」
「……あ、ごめん。どこからだっけ」
踊りながら思考していれば動きが止まり、私も足を止めた。
「次のところからは交代ですが、休憩しますか?」
「そう、しようかな」
と思って慧のところに体を向けようとした。
だけど、私に突き刺さるとある視線を感じ、横目で確認すれば……
もう一人の執事──矢絃が険しい顔つきでこちらを見ていた。
"自分はまだか、"という訴えの視線を放ちながら。
「やっぱり休憩は後回し。……矢絃、お相手お願い出来──」
「勿論です」
ダンスの練習相手である執事たちの交代は各々に委ねてあり、私たちは奏矢がだいたい先に相手をして、後半はあまり体力のない矢絃って流れが定着しているんだけど……
徐々にソワソワしだし、圧を放ち出番待ちしていた矢絃。
「日比野さん!!」
「ごめんなさーい!」
この叫び声も、私たちのダンス時間あるあるだ。