重いけどいいの?お嬢サマ
✧普通の男✧
◇*◇*◇
なんだかんだ夏休みは何をしても早く過ぎて行き、あっという間に矢絃が当てた旅館へと行く日に。
「この饅頭うま、これは買いだな。日持ちも割とするみたいだし。土産にでもするか」
「土産?」
「あー確かに買わないとね。オレたちはしっかり執事くんとドジ執事くんに」
……言い方。
「なるほど?お土産を渡すくらいは仲良くやれてるみたいね」
「一応だ一応」
少し照れくさそうにしながら、奏矢は別のコーナへと歩いていく。そんな奏矢の後ろを矢絃はゆっくりとついて行った。
「私は何にしようかな……」
慧に。何を渡しても喜んでくれそうではあるけど。
こういうお土産屋さんの品を見ると目移りがすごい。とは言え、まだ旅館に着いたばっか。
でもうお土産のことを考えて部屋に行っていない。
買うのは帰り時だとしても、目星はつけておいてもいいからって長いことお土産コーナーにいる私たち。
佐藤とは本当に名前を借りるだけって感じで、すでに別れ、帰り時まで佐藤とはしばし離れる。