重いけどいいの?お嬢サマ
「……明日のこと、お嬢は心配か?俺たちが負けたら、あのお坊ちゃんとの未来が決まるってことに」
「そうね……心配、してないと言えば嘘になる。大丈夫だとは思ってるけど、勝負の日が迫ってきたからか、一割ほど不安が生まれてる」
ここで嘘をつきたくはないし、つく必要もない。慧が言うように、太鼓判をもらえるって思ってるから。
「俺は……不安なんか一ミリもねぇよ。本当は勝負とかの前に、式とか言い出してきた時点でぶん殴ってやりたかったしな」
今思えば、あの時奏矢は殺気立っていた。
矢絃もだろうけど、奏矢は何倍も。よくおさえてくれた、そう思う。
逆に私がおさえられなくて胸ぐらとか掴んだけど。
「でも表向き見えねぇだろ?ずっと、俺があのくそお坊ちゃんに腸煮えくりかえってんのが」
交流会の時はかなやいの過去話とか調べてきたし、校門では式だとか即クビとか言っていたもの。二人が怒らないはずはない。
ただそれを周りに悟らせないのが奏矢と矢絃。
現に今も、奏矢は暗闇の中笑って見せている。含みのある、笑みだけれど。
「一応奏矢たちの過去話は他の皆には知られてないみたいだし、それについては──」
「ちげぇよ。……俺らのことは言われても広められても構わねぇ。けどな……俺は他の野郎がお嬢に寄ってくるのが嫌なんだよっ」
険しい顔つきになった奏矢は私の腕を掴み、立ち上がると同時に私をテーブルへと倒した。