重いけどいいの?お嬢サマ
ほんとに手を伸ばしてくれれば、矢絃からは届くんだけど……
私も食べようかな、と矢絃の後ろから手を伸ばす。手探りで袋から何個か取ったチョコを一つ、奏矢へ渡した。
「はいはい、どうぞ。これでいい?」
「……ん」
受け取った奏矢は無愛想だけど、顔にはありがとうって書いてあるなって、私は勝手に思うことにしている。
「いや、やっぱよくねぇ」
「え?」
本に戻しかけた視線を奏矢へと戻すと、
「あー」
チョコを私に返し、奏矢は口を開ける。
それを見た矢絃もまた……
「は、ずる。ならオレも。あーん」
……なんなんだこの二人は。
一応私、あなたたちの主っていう立場なのに。
私が食べさせる側なの?
「はやく」
急かされ、ぽいっとチョコを二人分口に放ってやれば、なんともまぁ美形が笑う笑う。
それは嬉しそうに。