重いけどいいの?お嬢サマ
──出席番号順でさせられるテストは、教卓を避けた黒板前。
そこに立てば、クラス皆と執事全員分の視線が集まる。……すぐそばからは厳しい先生の視線も。
「──次、一条美青さん」
「はい」
バイオリンを手に前へ歩いていく。
苗字の始まりが早いから、いつもこういうことに関しては早い段階で回ってくる。
これはもう慣れたけど、今日はいつになく緊張してるわ。
一礼して、自分のタイミングで始められるから、ひとつ深呼吸をして私はバイオリンを構えた。
きっとこの姿勢も評価に響くんだろうな、なんて思いながら、ゆっくりとメロディを刻んでいき、
余計な圧を感じないため、途中から目を閉じて最後までなんらミスをすることなく演奏することができたのだった──
「……ありがとうございました」
拍手の中、席に戻ろうとすれば慧が『流石美青っ』と口パクで言って笑っていたから、頷いてだけおいた。