ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
 このお客様は、昨日当店でイチゴを一パック購入して、一晩冷蔵庫に入れて保管していたらしい。そして今日の朝、食べようと思って冷蔵庫から出したところ、パックに入っているイチゴのうちの一粒がカビていたのだという。

 昨日レジを打ったのが私ということで、お客様は私にクレームを言いに来たという訳だ。

 レジを打つ際に、品質に問題がないかはある程度確認するものの、一晩経ってからとなれば、自分の見落としなのか、保管方法の問題なのかは分からない。しかしお客様としては、店が粗悪品を売っていたと捉えているようだ。

 返金はしたので、今回の件を上申することと、謝罪する以外に私ができることはない。だが、お客様はなかなか引き下がってはくれない。

 不運にもちょうど今の時間、レジの社員さんは昼休憩でいない。店長は外出中で、青果売り場の主任は週休だ。見かねたベテランのパートさんが割って入ってくれようとしたものの、お客様は私の対応を強く要求したため、どうにもならなかった。

 おそらく、店長はあと三十分もすれば外出から戻るはずなので、それまでの辛抱だ。そう思い直して、私は謝罪の言葉を口にして何度も頭を下げる。

「今後、このようなことがないように気をつけさせていただきます」

「さっきから口先だけの謝罪だけで、本当に分かってるのか!? この店は教育もできてないのか?」

「その辺にしときましょうか、お客さん」

「は? 誰だあんたは……!?」
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