ガテン系おまわりさんの、溺愛彼女
 お客様は振り向くと、言葉を失った。いつの間にか、彼の背後には背の高い若い男性が立っていたのである。

 男性は警察の青色の制服を身にまとい、目深に帽子を被っている。がっちりとした筋骨隆々な身体つきも相まって、威圧感は十分である。

「店の人が困ってるじゃないですか。返金はしてもらったんでしょう? これ以上何か言いたいことがあるならば、他のお客さんの迷惑にもなりますので、場所を変えませんか? ちょうど、すぐ近くに交番がありますので」

 落ち着いた丁寧な口調ではあるものの、そこには有無を言わせない響きがあった。

「どうしますか?」

「ぐっ……」

 お客様はイチゴパックをテーブルに投げ置いて、店から出て行った。そしてお客様の姿が見えなくなったところで、男性は口を開いた。

「大丈夫でしたか?」

「は、はい……その、助けていただき、ありがとうございました」

 慌てて男性に礼を言うと、彼が会計前であろう商品を持っていることに気づいた。

「すみません、すぐお会計しますね」

「お願いします、あと、レジ袋もひとつお願いします」

「かしこまりました。お会計が合計で……」

 男性が購入したのは、烏龍茶とヒレカツ弁当と、生クリームとカスタードクリーム入りのシュークリーム。おそらく、お昼ご飯を買いに来たのだろう。

「こちら、レシートです。ありがとうございました」

「ありがとうございます。あと……」

「?」

 財布にレシートをしまってから、男性は言葉を続けた。

「自分、黒崎と言います。駅前の交番にいますので、店でトラブルがあったら、いつでも呼んでください」

 そう言って、黒崎さんは去っていった。
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