ベンチャーCEOの想い溢れる初恋婚 溺れるほどの一途なキスを君に
画面の向こうで悠輝が口に手を当ててささやく。
「夫婦の愛の営みだよ」
「まあ、そりゃあ、おまえのアドバイス通り、ちゃんと抱きしめて、伝わる相手の感情に配慮してだな……」
「ああ、もう、そういう手前のことじゃなくて、子どもを作る行為のことだよ」
「ああ、なんだ、セッ……」
「言うな!」と、悠輝が画面に向かって手を突き出し顔が隠れる。「ズバリそれだけどさ。で、どうだったの?」
「断られたよ」
「え、ちょ、ど、どういうこと?」
「毎月の女性特有の事情があるだろ」
「ああ、生理だったの」
「ぼかした意味がないだろ」
「なんでそっちはぼかすんだよ。いきなりレスかと思っちゃったよ」と、悠輝が笑う。「だけど蒼也もついてないね。運命がねじれちゃってるんじゃないの?」
「翠の準備ができるまで待てばいいだろ。べつに無理強いすることじゃない。それこそ、いつも一緒にいるんだからな」
「いや、まあ、そうだけど、蒼ちゃんの気持ちだって、さらけ出したっていいんじゃないの。本当の夫婦なんだったらさ」
蒼也が時計に目をやる。
「悪いが時間だ。またこちらからかけ直すよ」
「あとちょっとだけ。肝心の用件を言ってなかった」
「早く言え」
「今度の日曜日にさ、SNS界隈のリアルイベントがあるんだよ。翠ちゃんと二人で来てくれないかな」
「俺もか?」
「そりゃ、夫婦だもん」と、苦笑しながら悠輝が鼻の頭をかく。「MV再生数世界一を記録した歌手のマキミヤとか、イリュージョニストのTAKAも来るからさ」
「知らない連中だな」
「蒼也は興味ないかも知れないけど、翠ちゃんは知ってるんじゃない?」
「分かった。じゃあ、直接翠に連絡してみてくれよ。翠が行くなら、俺も行くよ」
「オッケー。じゃ、また」
通話を終えると、ドアがノックされ秘書が入ってきた。
「MRジャーナルの取材ですが、機材の準備ができたそうです」
「了解。今行く」
蒼也はドア横に設置された鏡の前でネクタイの結び目を直すと、口角を上げて応接室に向かった。
「夫婦の愛の営みだよ」
「まあ、そりゃあ、おまえのアドバイス通り、ちゃんと抱きしめて、伝わる相手の感情に配慮してだな……」
「ああ、もう、そういう手前のことじゃなくて、子どもを作る行為のことだよ」
「ああ、なんだ、セッ……」
「言うな!」と、悠輝が画面に向かって手を突き出し顔が隠れる。「ズバリそれだけどさ。で、どうだったの?」
「断られたよ」
「え、ちょ、ど、どういうこと?」
「毎月の女性特有の事情があるだろ」
「ああ、生理だったの」
「ぼかした意味がないだろ」
「なんでそっちはぼかすんだよ。いきなりレスかと思っちゃったよ」と、悠輝が笑う。「だけど蒼也もついてないね。運命がねじれちゃってるんじゃないの?」
「翠の準備ができるまで待てばいいだろ。べつに無理強いすることじゃない。それこそ、いつも一緒にいるんだからな」
「いや、まあ、そうだけど、蒼ちゃんの気持ちだって、さらけ出したっていいんじゃないの。本当の夫婦なんだったらさ」
蒼也が時計に目をやる。
「悪いが時間だ。またこちらからかけ直すよ」
「あとちょっとだけ。肝心の用件を言ってなかった」
「早く言え」
「今度の日曜日にさ、SNS界隈のリアルイベントがあるんだよ。翠ちゃんと二人で来てくれないかな」
「俺もか?」
「そりゃ、夫婦だもん」と、苦笑しながら悠輝が鼻の頭をかく。「MV再生数世界一を記録した歌手のマキミヤとか、イリュージョニストのTAKAも来るからさ」
「知らない連中だな」
「蒼也は興味ないかも知れないけど、翠ちゃんは知ってるんじゃない?」
「分かった。じゃあ、直接翠に連絡してみてくれよ。翠が行くなら、俺も行くよ」
「オッケー。じゃ、また」
通話を終えると、ドアがノックされ秘書が入ってきた。
「MRジャーナルの取材ですが、機材の準備ができたそうです」
「了解。今行く」
蒼也はドア横に設置された鏡の前でネクタイの結び目を直すと、口角を上げて応接室に向かった。