恐怖姉妹
中は6畳くらいの狭い部屋になっていて、真ん中にテーブル、向かい合うように椅子が置かれているだけの簡素な部屋だった。

生徒を指導するための部屋に装飾品は必要ないらしい。
柚柚と梨里がここに入ったのは入学して初めてのことだった。

狭苦しく感じる室内で椅子に座ることもせず結原先生は腕組みをした。
「その、推薦枠に関してなんだがな」

先生が言いにくそうに咳払いをする。
「影野が希望するN大学の推薦枠はひとつしかないそうだ」

「そうなんですか」
それでも柚柚は気にしていなかった。

柚柚の成績は全校生徒で見ても優秀だ。
ひとつしかない推薦枠を奪われるという心配はしていない。

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