ホスト科のお世話係になりました
今日のミスはただでは済まされないものだという自覚がある。
もしかしたら一ヶ月間のお試しを待たずに解雇されるかもしれない。

不安が胸に膨らんでいく中、私は汰斗へ視線を向けた。
汰斗はさっきから私に背中を向けて手帳を確認しているけれど、会話は聞こえているはずだった。

それなのに、なにも言ってくれない。
「大丈夫。僕が愛美ちゃんを解雇にはさせませんから」
「尋さんが?」
驚いて聞き返すと、尋は大きく頷いてくれた。

汰斗の背中が反応したようにピクリを動く。
だけどやっぱり振り向いて声をかけてはくれなかった。

「えぇ。だから安心してお世話係を続けてください」
「はい、ありがとうございます!」

☆☆☆
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