社長の推しは、地味メガネのわたしでした。

アイドルの姉

「わざわざ、呼ばなくてもいいのに……」 

 キラキラと輝く光の粒に、立ち上る熱気。目の前で繰り広げられるパフォーマンスに、それぞれの想いをのせ声援を贈る観客達と、それに応え手を振る妹。そんな様子を冷めた目でしか見ることが出来ない清瀬穂花(きよせほのか)は、今朝妹と交わした会話を思い出し小さくため息をついた。

『お姉ちゃん、今日のステージ絶対見にきてよ!』

 私に配信されるとマズイとでも思ったのかな。そんなことしないのに……

 そんな勇気、私にはない。妹の影武者としての自分の立場など分かりすぎるくらい分かっている。その立場を望んだのは他でもない自分自身だ。

 大きな歓声と拍手の音に、煌びやかなステージの幕が降りる。それを、横目に立ち上がると、スタッフの案内で、地下へと続くエレベーターへと乗り込む。

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