社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
夜の帳が下りた街を、駅へと向かい歩く。トボトボと歩く私の足取りは重い。
とんでもない約束をしてしまった……
社長と交わした約束を思い出し、今さらながら後悔の念が込み上げる。
『――俺の推し活に協力して欲しい』
あの言葉にも衝撃を受けたが、誰もがうらやむ勝ち組であろうイケメンからのヲタク発言に勝る衝撃はないだろう。
しかも彼は『花音』のファンなのだ。
あの時、言われた言葉を思い出し、心が浮き足だつ。
『花音だけが特別』
あの言葉がなかったら血迷ったりなど、しなかっただろう。それだけ、深く私の心を射抜いた言葉だった。
今さら、お断りなど出来ないだろう。手元に戻ってきた、マスコットを見て、大きなため息を吐く。
彼に協力するリスクもわかっている。花音のファンと言うことは、Vチューバーとしての私の活動を熟知していると言うことでもある。隠し通せる自信がない。
それに、妹の存在。彼女が、アイドル『鏡レンナ』だと、知られる訳にはいかない。
あぁぁ、どうしたらいいのよ!
堂々巡りする思考に、とうとう匙を投げた。どうにかなるかと、半ば諦めの境地で、腕時計に視線を落とし気づいた。
「八時? 嘘でしょ!」
定期配信まで、あと一時間しかないことに気づいた私は、慌てて駅への道を走った。
とんでもない約束をしてしまった……
社長と交わした約束を思い出し、今さらながら後悔の念が込み上げる。
『――俺の推し活に協力して欲しい』
あの言葉にも衝撃を受けたが、誰もがうらやむ勝ち組であろうイケメンからのヲタク発言に勝る衝撃はないだろう。
しかも彼は『花音』のファンなのだ。
あの時、言われた言葉を思い出し、心が浮き足だつ。
『花音だけが特別』
あの言葉がなかったら血迷ったりなど、しなかっただろう。それだけ、深く私の心を射抜いた言葉だった。
今さら、お断りなど出来ないだろう。手元に戻ってきた、マスコットを見て、大きなため息を吐く。
彼に協力するリスクもわかっている。花音のファンと言うことは、Vチューバーとしての私の活動を熟知していると言うことでもある。隠し通せる自信がない。
それに、妹の存在。彼女が、アイドル『鏡レンナ』だと、知られる訳にはいかない。
あぁぁ、どうしたらいいのよ!
堂々巡りする思考に、とうとう匙を投げた。どうにかなるかと、半ば諦めの境地で、腕時計に視線を落とし気づいた。
「八時? 嘘でしょ!」
定期配信まで、あと一時間しかないことに気づいた私は、慌てて駅への道を走った。