社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
爆発
――なぜ、こうなってしまったのか。
窓の外に広がるビル群の夜景も、ビロードのソファ席から見上げたシャンデリアの光さえ色あせて見える。
社長と二人なら、全てが輝いて見えたのだろうか。きっと、高級ホテルのラウンジの個室に案内されただけで舞い上がっていた。そう考えでもしなければ、目の前で繰り広げられる美春と社長の会話に耐えられない。それほどまでに、私の精神状態は瀕死の状態だった。
美春に見つかった時から、こんな事になるのではないかと想像はしていた。過去、妹へと靡いて行った者達の姿が脳裏をかすめ、心の淀みが増していく。
きっと、社長も妹へと靡く。かつて、離れていった者達と同じように、社長もまた私の前から消えるのだろう。
そもそも、そう思う事自体、おこがましいのかもしれない。
「それにしても驚いたよ。清瀬さんが、鏡レンナの姉だったとは。どうして教えてくれなかったの?」
「えっ……、はぁぁ、まぁ……」
急に社長に話を振られ、返答に困る。教えなかったのではない、教えられなかったのだ。
「やだぁ、社長ったら。そんなの決まってますよ! レンナ、人気者でしょ。過激なファンもいるし、防犯上ね。知ってますぅ? 家族の発言から、アイドルの家が特定される事もあるんですよぉ。レンナ、怖いぃ♡」
怖いと言いながら、社長の腕に身体を寄せ、抱きつく妹の姿に、嫌悪感が増していく。
ただの嫉妬だ。自分とは違い、社交的で相手の懐に入るのが上手い妹に対する嫉妬。自分も彼女と同じように社長に甘えられたなら、こんな想いしなくて済んだのだろうか。
そんな事出来ないくせにと嘲るもう一人の自分が心の中で笑っている。
目の前のテーブルに置かれた赤ワインのボトルが目に入る。
お酒は強くない。居酒屋で提供される薄いカクテルでさえ、一杯で酔ってしまう程度には弱い。一杯のグラスワインで足元がおぼつかなくなる自信がある。ただ、もう我慢できなかった。
酔いが、全てを忘れさせてくれるなら……
窓の外に広がるビル群の夜景も、ビロードのソファ席から見上げたシャンデリアの光さえ色あせて見える。
社長と二人なら、全てが輝いて見えたのだろうか。きっと、高級ホテルのラウンジの個室に案内されただけで舞い上がっていた。そう考えでもしなければ、目の前で繰り広げられる美春と社長の会話に耐えられない。それほどまでに、私の精神状態は瀕死の状態だった。
美春に見つかった時から、こんな事になるのではないかと想像はしていた。過去、妹へと靡いて行った者達の姿が脳裏をかすめ、心の淀みが増していく。
きっと、社長も妹へと靡く。かつて、離れていった者達と同じように、社長もまた私の前から消えるのだろう。
そもそも、そう思う事自体、おこがましいのかもしれない。
「それにしても驚いたよ。清瀬さんが、鏡レンナの姉だったとは。どうして教えてくれなかったの?」
「えっ……、はぁぁ、まぁ……」
急に社長に話を振られ、返答に困る。教えなかったのではない、教えられなかったのだ。
「やだぁ、社長ったら。そんなの決まってますよ! レンナ、人気者でしょ。過激なファンもいるし、防犯上ね。知ってますぅ? 家族の発言から、アイドルの家が特定される事もあるんですよぉ。レンナ、怖いぃ♡」
怖いと言いながら、社長の腕に身体を寄せ、抱きつく妹の姿に、嫌悪感が増していく。
ただの嫉妬だ。自分とは違い、社交的で相手の懐に入るのが上手い妹に対する嫉妬。自分も彼女と同じように社長に甘えられたなら、こんな想いしなくて済んだのだろうか。
そんな事出来ないくせにと嘲るもう一人の自分が心の中で笑っている。
目の前のテーブルに置かれた赤ワインのボトルが目に入る。
お酒は強くない。居酒屋で提供される薄いカクテルでさえ、一杯で酔ってしまう程度には弱い。一杯のグラスワインで足元がおぼつかなくなる自信がある。ただ、もう我慢できなかった。
酔いが、全てを忘れさせてくれるなら……