社長の推しは、地味メガネのわたしでした。
「どうしよう、どうしよ! 私、社内の女性陣に殺されるの? ねぇ、死亡確定なの?」
「あっ、それ大丈夫よ。黒縁メガネのダサ女を王子様が相手にする訳ないって、すでに女性陣落ち着いているから」
「そう……」
心菜の言葉に、微妙に傷つきつつ、心底自身の格好の地味さに感謝した。
「それにしても穂花にしては珍しいね、遅刻なんて」
「あぁ、ちょっと夜更かし、しちゃって」
「珍しいこともあるもんだね。穂花が夜更かしだなんて。まさか、彼氏でも出来た?」
「はは、まさか。好きな漫画読んでて止まらなくなっただけ」
「そっかぁ、だよね。穂花、男関係に全く興味ないもんね。合コンに誘っても来ないし……。可愛い顔しているのになぁ、もったいない」
「可愛い顔なんてしてないもん……」
――妹とは違って。
昔から、華やかな妹と地味な姉。そんな立ち位置は今も変わらない。いいや、さらにその差は広がっている。Vチューバー出のアイドル『鏡レンナ』として、時の人となった妹と、その影武者として、『Vチューバー花音』として裏で配信を取る私。まるで、光と闇のようだ。
人気者の妹の足を引っ張ることだけは出来ない。彼氏など作れない。
「そうかなぁ? ほらっ、メガネを外すと――、あら不思議、めっちゃ可愛い」
「もう、やめてったら!」
眼鏡を取られ慌てる私と心菜との漫才のような掛け合いに痺れを切らした課長の間伸びした声がする。『そろそろ仕事始めろぉ〜』の言葉を合図に、それぞれのデスクへと戻った私達は、やっと仕事を開始した。
「あっ、それ大丈夫よ。黒縁メガネのダサ女を王子様が相手にする訳ないって、すでに女性陣落ち着いているから」
「そう……」
心菜の言葉に、微妙に傷つきつつ、心底自身の格好の地味さに感謝した。
「それにしても穂花にしては珍しいね、遅刻なんて」
「あぁ、ちょっと夜更かし、しちゃって」
「珍しいこともあるもんだね。穂花が夜更かしだなんて。まさか、彼氏でも出来た?」
「はは、まさか。好きな漫画読んでて止まらなくなっただけ」
「そっかぁ、だよね。穂花、男関係に全く興味ないもんね。合コンに誘っても来ないし……。可愛い顔しているのになぁ、もったいない」
「可愛い顔なんてしてないもん……」
――妹とは違って。
昔から、華やかな妹と地味な姉。そんな立ち位置は今も変わらない。いいや、さらにその差は広がっている。Vチューバー出のアイドル『鏡レンナ』として、時の人となった妹と、その影武者として、『Vチューバー花音』として裏で配信を取る私。まるで、光と闇のようだ。
人気者の妹の足を引っ張ることだけは出来ない。彼氏など作れない。
「そうかなぁ? ほらっ、メガネを外すと――、あら不思議、めっちゃ可愛い」
「もう、やめてったら!」
眼鏡を取られ慌てる私と心菜との漫才のような掛け合いに痺れを切らした課長の間伸びした声がする。『そろそろ仕事始めろぉ〜』の言葉を合図に、それぞれのデスクへと戻った私達は、やっと仕事を開始した。