Dearest 2nd 〜Moon〜
分かっていた。
彩がまだアイツの事を忘れてなんかいないって事。
まだまだ俺が入れる隙間なんかないって事。
───…でも。
………──……
「───…だーれだ?」
ねぇ、少しでいい。
こんな風に君を目隠しして、戸惑わせて。
「───…朝岡さん…。」
目隠しした下からフッと笑う君が愛しい。
愛しい。
愛しい───…。
「………当たり♪」
……くしゃっ──…。
このまま抱き締めてしまいたい衝動を抑え、俺は彩の頭を撫でた。
撫でるとくすぐったそうに笑う彩に、胸が締め付けられる。
……だけど。
「……元気、ないな?」
「…………」
その瞳の奥に秘められた深い感情を、俺は知らんふり出来なかった。
「……」
俯いて何も言わない彩の表情からして、“空元気”の仮面が剥がれたのは決定的だった。
「───よしっ!
進級祝いでどっか遊びに行くか♪」
━━━━━グイッ!
彩の手を引っ張って、キーケースを取り出す。
「……えっ!?ちょっ─…
朝岡さん…っ!
部活!部活どうするの!?」
「んなもんサボれ♪」
「えぇぇっ!?!?」
「えぇから、はよ行くで!」
───…慌てふためく彩にフッと笑い、俺と彩は走り出した。
行き先は、もう決まっているから。