Dearest 2nd 〜Moon〜
「───…高校卒業してからは社会人として数年働いてた。
………大学の資金と一人暮らしの資金貯める為にさ。」
「…………」
…──今では遠い過去の話のようにも思える。
“親父には一切理解してくれなんて思えへん!”
毎日毎日親父と繰り返される喧嘩。
終わる事のないぶつかり合いと衝突。
家を飛び出しては戻る場所もなく、また帰らなければいけない自分の無力さ。
うんざりする毎日だった。
「………俺は音楽勉強したかったんやけどさ。
親父と意見が合わんかったって言うか……
───まぁ、簡単に言やぁ、頭ごなしに反対されてさ。
……もちろん学費の面でも。」
親父は俺が音大に進む事を初めから反対していた。
国公立に進めだの、医者になれだの、はたまた留学しろだの──…
そんなの嫌に決まってた。
俺が進みたいのはそんなレールじゃない。
だから
「……だから?
だから高校卒業してすぐに働いたの?」
「………ん……」
彩に先を読まれて頷いた。
…──俺は
結局親父とは分かり合えなかった。