Dearest 2nd 〜Moon〜
さすがに、こればっかりはどうにも誤魔化せるはずもなく。
「───…うー……ん。
強いて言えば、
“優しくて穏やかな人やった”かな……?
───…もうこの世におれへんから、言い方過去形になってまうけど………。」
視線をどうすればいいのか分からず、俺はポツリとお袋の事を伝えた。
「……え……まさか……」
彩は驚き、言葉にならないとばかりに俺を見る。
俺はそれに答えるように頷いた。
「……ご、ごめんなさい……。」
「いや、全然!
知らんかったんやから、当たり前やって。」
「……でも……」
申し訳なさそうに俯く彩に、俺が何だか悪い事をした気分だ。
でも、もう慣れてる。
「───…俺のお袋さ、
俺が小学校三年の時に癌で逝ってもうて……
………そこからは、親父と二人。
色んなとこ転々としたけど、結局一番初めに住んでたここに戻ってきてん。」
「───じゃあ……
さっき言ってた大学行かせてくれたのがお母さんだって言うのは……?」
「───あれはお袋が俺の為にって遺してくれた金。
長くは生きられへんって……。お袋はお袋なりに分かってたんやろうな。
“本当に困ったら使うように”って、莫大な遺産残してくれてたよ。」
「……それで大学に……?」
「そ。デキた親やろ?
お袋の“子を思う気持ち”、俺めっちゃ感動したもん。
ありがたいなーって。
そっからは真面目に大学で勉強してるよ。」
「………うん……。
本当にそうだね………」
お袋は、自分で言うのも何だけど。
…───偉大な人。
自分のことよりも俺や親父を優先に考えて、弱音を吐かなかった。
本当なら泣き叫びたいだろうに、俺や親父を最後まで気遣って笑っていた。
───…そんな人。