警視正は彼女の心を逮捕する
 これほどの飢えや渇きを味わったことがないというくらい、互いの口内を貪るのをやめられない。

 浮遊感がある。
 でも唇は鷹士さんと離れず。
 縦抱きされている。

 私が鷹士さんより背が高くなるって滅多にない。
 彼の頭をしっかりホールドして上向かせた。

 キスの主導権を握らせてくれるのが嬉しい。
 ……これが人生初めてのキスだから、上手い下手なんて気にしていられない。

「日菜乃、俺を見るんだ」

 息継ぎのため、いったん唇を離された。
 熱い息を吹きかけられながら、囁かれる。

「誰が日菜乃を抱くのか、実感しろ」

 焔を閉じ込めた双眸で見つめられる。
 鷹士さんの独占欲が燃えている。

「ん」

 私は再び、彼の顔にかがみ込んだ。

 要らないよ。
 あなたしか欲しくない。

 ホールドが両腕から片腕になる。
 それでも安定しているけれど、なんで片腕だけなんだろう。
 寂しい。
 すり……と頬を彼の頬に寄せると、鷹士さんの動きから自由になった手でドアを開けたのだとわかった。
 
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