警視正は彼女の心を逮捕する
間話〜彼と彼(2)〜
「……理解できない」
宗方悠真は、立ち去る幼馴染を見ながら呆然と呟いた。
互いに愛人を囲っている両親を見て、育ち。
『結婚と恋愛は別物』と教わって育ってきて、それを疑いもしなかった。
だから恋人は人脈作りの一環として作ってきた。
結婚についてのアプローチも多々あったが、妻としては政治家であることを後押ししてくれる榊綾華を選び。
……藤崎日菜は、自分を癒してくれる存在として終生、傍におこうと思っていた。
否。
『日菜が僕から離れるはずはない』
それは、悠真が唯一持ち続けていられた自信だった。
しかし、日菜は綾華と結婚することを報告した途端、いなくなってしまった。
空っぽの部屋を見たときの絶望感は、言い表せない。
親友の家にいることが判明したときには、激しい嫉妬に駆られた。
それでも。
「日菜が鷹士と結婚すれば、いずれ僕の元に戻ってくると思っていたのに」
彼女がいなくなってからずっと、『ようやく理想的な形になっただけだ』と言い聞かせてきた。
なのに、彼女は親友を愛しているのだという。
結婚相手なのに?
「意味がわからない」
ふたたび呟きながら、親友の賀陽鷹士に電話を掛けたのは無意識だった。
宗方悠真は、立ち去る幼馴染を見ながら呆然と呟いた。
互いに愛人を囲っている両親を見て、育ち。
『結婚と恋愛は別物』と教わって育ってきて、それを疑いもしなかった。
だから恋人は人脈作りの一環として作ってきた。
結婚についてのアプローチも多々あったが、妻としては政治家であることを後押ししてくれる榊綾華を選び。
……藤崎日菜は、自分を癒してくれる存在として終生、傍におこうと思っていた。
否。
『日菜が僕から離れるはずはない』
それは、悠真が唯一持ち続けていられた自信だった。
しかし、日菜は綾華と結婚することを報告した途端、いなくなってしまった。
空っぽの部屋を見たときの絶望感は、言い表せない。
親友の家にいることが判明したときには、激しい嫉妬に駆られた。
それでも。
「日菜が鷹士と結婚すれば、いずれ僕の元に戻ってくると思っていたのに」
彼女がいなくなってからずっと、『ようやく理想的な形になっただけだ』と言い聞かせてきた。
なのに、彼女は親友を愛しているのだという。
結婚相手なのに?
「意味がわからない」
ふたたび呟きながら、親友の賀陽鷹士に電話を掛けたのは無意識だった。