警視正は彼女の心を逮捕する
 それから私達は二人でお皿を洗って、一緒に掃除をした。

「……お洗濯は……、どう、しましょう」

 二人の身につけたものを一緒に洗うのが、なんだか照れくさい。
 もじもじしていたら、鷹士さんが自分の汚れ物を入れた籠を持って脱衣所から出ていこうとした。

「鷹士さん?」
「さっき言ったとおり、洗濯は別にしよう」

 後ろを向いた鷹士さんの耳や首筋が真っ赤で。
 私は思わず彼のTシャツの裾を掴んだ。

「……これから外出もしますし。二回まわすと、余計時間がかかりますので!」
 
 ごくりと唾を飲み込んで覚悟を決めた。

「一緒に洗濯しちゃいましょう!」

 私は叫んだ。
 鷹士さんはしばらく後ろを向いたままで。
 ようやく、ボソっと呟いた。
 
「……日菜乃ちゃんが嫌じゃないなら」
「嫌じゃない、デス」

 ただ、ここから逃げ出したいくらい、恥ずかしいだけで。
 ……こんなこと、悠真さんの洗濯物には思ったことなかった。
< 35 / 223 >

この作品をシェア

pagetop