【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
➀勘違いから始まる一夜の関係
プロローグ〜私を抱いてください〜
これは大学生の時の話だ。
「三国くんは……私のこと、抱ける?」
「え……?」
自分でもおかしなことを言っているのは、よくわかっている。 けど私は、三国くんのことが好きなんだ。
「お願い。答えて、三国くん。……私のこと、三国くんは抱ける?」
「それって……セックス出来るか、ってこと?」
「そう。私と、セックス出来る?」
私にとって三国くんは、素敵な人なんだ。 誰にも渡したくなんてない。
だけど三国くんが私のことを見ていないことは、わかっているんだ。
三国くんが好きなのは、私の親友だ。 私はそれを知っていて、三国くんに身体の関係を迫ろうとしている。
「私は、三国くんのことが好きなの。……三国くんが智世のこと好きなのはわかってる。 でも私、諦められなくて」
三国くんも私が言っている言葉の意味を頑張って理解してくれようとしているんだとは思うけど、その表情からは何も読み取ることが出来ないのがとにかくもどかしい。
「絵梨沙……君は本気で言ってるのか?」
「……本気に決まってるじゃない」
三国くんと少しでも近付きたい気持ちに欲が出て、もう止められない。
「絵梨沙、誤解だよ」
「え……誤解?」
何が誤解……なの?
「俺は智世のことを好きな訳じゃない」
「……え?」
どういうこと? 智世のことが好きだって聞いたんだけど、違うの?
「智世のことはなんとも思ってないよ。 好きとかじゃない」
「え、え……本当に?」
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