【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。


 私がそう聞き返すと「本当だよ。 俺が智世のこと好きっていうのはどこ情報?」と聞いてくる。

「だってみんな、そんなこと言ってたから……」

「ただのウワサだよ。……でも、勘違いさせてごめん」

「……ううん」

 なんだ……。智世のこと好きな訳じゃないんだ。
 ホッとしたような、ないような……。

「あのさ、三国くん……」

「ん?」

「さっきの話、忘れてくれないかな」

 さっきの話を今すぐに忘れてほしい。あんなことを言った自分が恥ずかしくて、穴があったら入りたいくらいだ。

「変なこと言って、ごめんね。……忘れて」

 私はすぐにここから立ち去りたくて、下を向いた。

「じゃあ私、帰るね」

 立ち去ろうと背中を向けると、三国くんが私の腕をガッと掴んでくる。

「待てよ、絵梨沙」

「え……? 三国くん?」

「あの言葉、なかったことにするつもり?」

 そう言われた私はびっくりして「えっ?」と三国くんを見つめる。

「自分から抱いてほしいって頼んできたくせに、なかったことにするつもり?」

「え、だ、だって……智世のこと好きな訳じゃないってわかったし」

 私の勘違いだということがわかったので、今すぐにでもここから離れたい。

「俺まだ、その返事してないけど」

「……え、返事もなにも、忘れてって言ったのに?」

 でも三国くんのことを好きなことに変わりはないの。……その事実だけは、これからも変わることはない思うの。

「あんなこと言っといて、忘れろだなんて卑怯じゃない?」
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