【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
俺は気が付いたら、絵梨沙の腕を掴んでそう言葉にしていた。
「自分から抱いてほしいって頼んできたくせに、なかったことにするつもり?」
「え、だ、だって……智世のこと好きな訳じゃないってわかったし」
多分絵梨沙は、一刻も早く俺から離れたいのだろうが、そうはさせたくなかった。
「俺まだ、その返事してないけど」
俺がそう言ったら絵梨沙は「……え、返事もなにも、忘れてって言ったのに?」と言い返してきたんだ。
「あんなこと言っといて、忘れろだなんて卑怯じゃない?」
そんなことないと言おうとする絵梨沙の唇に強引に塞いだ俺の行動は、無意識だった。
「ちょっと、三国くんっ……?」
「俺に抱いてほしいって頼んできたのに、それをなしにするってのは……ないんじゃない?」
「え、あ……えっ?」
目を丸くして俺を見る絵梨沙がかわいく見えて、このまま離したくないとさえ思った。
「俺に抱いてって言ったのはそっちなんだから、責任取ってくれないと困るんだけど?」
「せ、責任……?」
「そう。責任」
「いや、だから……忘れてってお願いしたよね?」
忘れろなんて、簡単に絵梨沙は言うけど、それが出来たら苦労はしないんだよな。
「忘れる訳ないだろ? しっかり言葉の責任、取ってもらうからな」
「え……それ、どういう意味?」
「絵梨沙、黙って俺に抱かれろよ」
俺はその日、絵梨沙を自分の部屋のベッドで何度も抱いた。 だけど抱けば抱くほど、離したくない気持ちが強まっていた。