【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
✱ ✱ ✱


「父さん、俺は医者にはならない」 

「……なに? どういうことだ、祥太」

「俺は医者になるつもりはない。 俺は弁護士になる」

 だけど俺は、父親からの「医者になれ」という言葉にうんざりしていた。 その反発心から【弁護士】になろうと決めた。

「なに、弁護士だと?……祥太、お前は何を言っているのかわかっているのか?」

「わかってるよ。 だからこそ俺は、医者になんてならない」

「お前……俺がどんな思いでお前を育てたのかわかっているのか!?」

「もちろん、育ててくれたことには本当に感謝してる。……でもこれは俺の人生だ。 俺の人生は、俺が決める。でも海外への留学はちゃんとする。だけど向こうで司法試験を受ける」

「お前ってヤツは本当に……。もういい!勝手にしろっ!」

  そして海外へ留学して半年後には大学を中退した。 そこで数年語学を学んだ俺は、向こうで毎日死ぬほどを勉強をした。 
 弁護士になるためには本当に努力するしかなかったが、試験には何度も落ちていた。 しかし苦労の甲斐があり、司法試験に無事に合格し晴れて弁護士となった。

 今年で弁護士となって四年になる。  向こうで弁護士としての経験をたくさん積んだおかげか、日本の志木川法律事務所というところから一ヶ月前にスカウトを受け、日本で働くことを決めた。
 
 日本に戻る際に一番最初に決めていたことがある。 それは、絵梨沙に真っ先に会いに行くことだった。
 俺がずっと恋い焦がれている、絵梨沙の元へ会いに行くことが、俺の使命だと思った。
< 19 / 132 >

この作品をシェア

pagetop