【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
「今度コロッケ、作ってあげようか?」
「マジ? それは嬉しい」
「美味しいかはわからないけどね」
祥太くんが「楽しみにしてる」と微笑むので、私も頑張って作ろうと思える。
「絵梨沙、料理得意なのか?」
「んー、得意というよりは好きの方が勝ってるかも」
料理は得意という訳ではないけど、好きな方ではある。 両親が共働きということもあり、料理はから結構昔からやっていた。
「料理が好きってのはいいな」
「そう? まあ、もっと料理上手くなったらいいなと思うんだけどね」
祥太くんのために料理を作ることになるとは思ってはなかったけど、これからは祥太くんのために料理を頑張りたいとは思う。
「私、誰かの料理しようと思ったの、初めてなんだよね」
「え? そう……なのか?」
「うん。 祥太くんのために料理上手くなりたいなって、思っちゃった」
好きな人のために美味しい料理を作りたいっていう気持ちが湧くなんて、あるんだなって感じた。
「ありがとう、絵梨沙」
「ううん、私の方こそありがとう」
私が微笑むと、祥太くんは「よし、早く帰ろう」と笑っていた。
祥太くんの家に着くとキッチンを借りた。 冷蔵庫を開けて入っている材料を確認すると、いくつか料理が出来そうだった。
「じゃあ冷蔵庫の中のもの借りるね」
「どうぞ」
すると祥太くんのスマホが鳴り出した。
「悪い。電話だ」
「ううん、出ていいよ」
「はい。三国です」
祥太くんはキッチンから一旦離れていく。