【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
タイムカードを切りロッカールームで服を着替えてお店を出ると、「絵梨沙」と声が聞こえてきた。
「祥太くん」
「お疲れ様」
「うん、お疲れ様」
いつもお店を出ると、祥太くんは従業員入口がある裏口へ迎えに来てくれる。
「さ、行こうか」
「うん」
私たちはどちらからともなく手を握り、歩き始める。
「ねえ、祥太くん」
「ん?」
「今日の夕食……私が作ってもいいかな?」
そう聞くと祥太くんは一度立ち止まり「え? 作ってくれるのか?」と私を見る。
「うん、私が作るので良ければ……だけど」
「もちろん、絵梨沙の手料理は食べたいに決まってるだろ」
「ありがとう。 じゃあ、何が食べたい?」
「んー、そうだな……」
こんな他愛もない話をしているのも楽しくて、私はつい微笑んでしまう。
「冷蔵庫に何がある?」
「んー、確か肉とか野菜はあったと思うんだけど」
「じゃあ、冷蔵庫見てみてから決めてもいい?」
「ああ」
祥太くんと付き合うようになってから、祥太くんの家に泊めてもらうことが多くなった。
私は未だに実家で暮らしているので、祥太くんの家にお世話になることが多い。
「祥太くんって今も、コロッケ好きなの?」
「え?」
「大学の時、よく近くのお肉屋さんでコロッケ食べてたから、今でも好きなのかなって思って」
「ああ、懐かしいな。 そういえばよく食ってたな。 確かにコロッケは今でも好きだ」
コロッケか……今度コロッケ、作ってあげようかな。