【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
「三国くん……」
「絵梨沙、今日くらい名前で呼んでよ」
「名前で……?」
三国くんのことは、三国くんとしか呼んだことがないから名前で呼んだことなんてない。
急に恥ずかしさが込み上げて来る。
「名前で呼んで、絵梨沙」
「……祥太、くん」
「よく出来ました」
ベッドの上で三国くんからのキスをもらうだけで、私はドキドキが急上昇してたまらなく恥ずかしくなる。
「三国、くん……恥ずかしい」
「俺だけに見せてよ……絵梨沙の全てを」
「待ってっ……」
三国くんに触れられるところが熱くて刺激的で、なのに甘くてこの理性に抗えない。
「絵梨沙……今日は絵梨沙の全てをもらうから、覚悟しろよ」
「……っ、うん」
私はその日、三国くんと何度も身体を重ね合った。 今日だけ、三国くんが私のものだという証を残したくて、何度も抱いてもらった。
三国くんの体温に溶かされて、何も出来ないまま三国くんの腕の中で何度も三国くんの名前を呼んだーーー。
「三国くん……素敵な時間をありがとう」
私はもう、思い残すことなんてない。 三国くんに抱いてもらって、こんなにも幸せだったから。
すやすや眠る三国くんの頬にキスをし、私はそっと部屋を出た。
もう二度と三国くんに抱いてもらうことなんてないから、幸せな思い出にする。
三国くんはもうすぐ、日本からいなくなってしまうから。
だからもう、三国くんとは会うことはない。 これで、もうさようならだ。