【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。


 私がクスクス笑っていると、祥太くんは「かわいいか?」と聞いてくるから、私は「うん、かわいいよ」と返した。

「まさか父さんがそんなことを聞いてくるとは、思ってなかったけどな」

「祥太くんも意外だったんだ」

「まあな」

 でも祥太くんの表情は優しくて、お父さんとも仲直りが出来たのかなって思った。

「ねえ、祥太くん」

「ん?」

「せっかく挨拶に行くんだから、手土産を持っていきたいんだけど」

 祥太くんは赤信号で止まると「手土産? いいよ、そんなの」と言うけど、私は「ダメだよ! 祥太くんのお家に招待されたのは私なんだから、手土産くらい持っていかないと失礼になっちゃうよ」と祥太くんに言い返した。

「本当、絵梨沙はきちんとしてるな」

「普通のことだよ、そんなの。 じゃないと私の気が済まないの」

 祥太くんは青信号になって車を走らせると、「絵梨沙、確かこの先に道の駅があるから、そこへ寄って行こうか」と言ってくれた。

「……いいの?」

「絵梨沙がそう言ってくれるのは嬉しいことだしな。 ちゃんと絵梨沙がそういうところに気を遣ってくれるところも、俺はいいと思ってるよ」

 祥太くんがそう言ってくれたことが嬉しくて、私はつい「祥太くん、ありがとう。本当にごめんね」と謝ってしまった。

「なんで謝るんだよ? 俺は絵梨沙の礼儀正しいところが好きだから、気にすることはないって」

 いつも祥太くんは私を褒めてくれるし、優しくしてくれるから、そんな祥太くんが大好きだし尊敬する。
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