【完結】七年越しの初恋は甘く熱く、ほろ苦く。
➇緊張の挨拶

初対面

✱ ✱ ✱



「絵梨沙、お待たせ」

「祥太くん」

 そして次の週の金曜日、家に祥太くんが迎えに来てくれた。
 
「どうかな、祥太くん……?」

 この間アウトレットで購入した何着かのワンピースのうち、迷った末にベージュのワンピースを選んだ。
 本当は白のワンピースを着ていこうかとも思っていたのだけど、祥太くんに【白のワンピースは俺の前以外着ちゃダメだ】と言われてしまったので、結局ベージュのワンピースに白のカーディガンを選ぶことにした。

「うん、似合ってるよ」

「本当? 良かった」

 祥太くんは「白のワンピースが一番似合ってるけど、あれは俺の前でだけ着てほしいから、着てこなくて正解だな」と微笑んでいた。

「よし、じゃあ行こうか。乗って」

「うん、よろしくお願いします」

 祥太くんの車の助手席に乗り込み、シートベルトを着用する。

「準備はいいか?」

「うん」
 
 祥太くんはエンジンをスタートすると、ギアをドライブ入れ走り始めた。

「父さん、絵梨沙に会えるの楽しみにしてるみたいなんだ」

「えっ、そうなの?」

 祥太くんのお父さんが、私に会うのを楽しみに……? 
 どうしよう、それを聞くとなんだか緊張してしまう。

「ああ。 父さん、意外とノリ気みたいでさ」

「そうなんだね」

 祥太くんのお父さんって厳しい人だと聞いてたんだけど、意外と優しい人なのかな?

「今日なんて、ネクタイの色何色がいいかって聞いてきたんだよ、俺に」

「そうなの? なんかかわいいね」
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